カポックの木

リオ・オリンピックは終わりましたが、暑い夏に、一年中暑い南米熱帯アマゾンの話。
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アマゾンの熱帯雨林は、一年中気温が高く、半年以上雨が降り、その中で生きものたちが豊かに成長をつづけています。熱帯雨林のてっぺんは、林冠部カノピーと名づけられた陽の当たる場所。明るい光を好む生きものが住む。おうむが飛び、サルが駆け回る。
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熱帯雨林の下の部分は、低木部アンダーストーリーと呼ばれ暗がりを好む動物が住んでいる。木のつるには、蛇がとぐろを巻き、ジャガーがしなやかな身のこなしで潜む。

カポックの木は、カノピーを突き抜ける大木。

アマゾンの深い熱帯雨林に入った男が、カポックの大木を切ろうとしていたところ、疲れて眠り込んでしまったところから話が始まります。
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そこへ、森の生きもの達が、次々やって来て、眠っている男に話しかけるのです。
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蛇、猿、おうむにカエル、男の顔に鼻先を近づけるジャガーにヤマアラシなど。

生きもの達が男に語りかける短いことばに、著者のメッセージが込められています。植物がどんなに生きものの世界を豊かに支えてくれているか。熱帯雨林が、どんなに素晴らしい場所であるかを。

森の木がなくなったら、どうなるのか?読んでいるだけでは当たり前に思えることばが、見ているだけで鬱蒼とむせ返るような深いアマゾン奥地にいる気分になる絵の中で語られると、不思議な迫力を持って読む人に迫って来ます。

深い眠りに落ちていた男は、目覚め、回りを見回すと、見たことのない珍しい美しい生きものに囲まれていることに気づきました。
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はるか上のカノピーから光が降り注ぎ、宝石のようにきらめいていました。大地からは、ふつふつとエネルギーが沸き起こっているよう。

男は、カポックの木を切らずに、森を去って行きました。

一部引用
『カポックの木』(熱帯アマゾン・熱帯雨林のお話)
リン・チェリー作 みらい なな訳
童話屋

絵が綺麗。話の内容が深い。
熱帯雨林、植物、豊かな自然への畏怖と感謝の気持ちが、自然に呼び醒まされる絵本。
力のある絵本だと思います。
小学校高学年から、大人まで。

by fukidayori | 2016-08-25 10:26 | 本、絵本 | Trackback | Comments(0)
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